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個別支援計画をAIで「速く書く」は危ない——現役児発管がAIを開発している理由

  • chojun0529
  • 8月11日
  • 読了時間: 4分
AIを活用した個別支援計画の視覚化: 魔法のように開かれた本から輝く光と共に男の子が飛び出し、成長と可能性を象徴しています。
AIを活用した個別支援計画の視覚化: 魔法のように開かれた本から輝く光と共に男の子が飛び出し、成長と可能性を象徴しています。

個別支援計画をAIで「速く書く」は危ない——現役児発管がAIを開発している理由


「個別支援計画の作成、AIで楽になりませんか?」

福祉事業者の方から、最近この相談を本当によく受けるようになりました。AI専門会社・合同会社あとらくしょん代表の長純です。私は放課後等デイサービス「ウィズ・ユー」を運営する合同会社あっぷっぷの副代表兼CAIO(Chief AI Officer)も務めており、児童発達支援管理責任者として今も現場に立ち続けています。


その立場から、あえて最初に申し上げたいことがあります。個別支援計画を「AIで速く書く」ことを目的にした導入は、危険です。 本記事では、その理由と、私がいま開発している「逆のアプローチ」のAIについてお話しします。


個別支援計画の「個別」が失われていく構造

個別支援計画は、障害児支援の根幹をなす書類です。その子だけの発達の姿、家庭の状況、保護者の願いを踏まえ、5領域にわたる支援目標と具体的な支援内容を定める。文字通り「個別」であることに、この計画の存在意義があります。


しかし現場の実態はどうか。児発管はアセスメント、面談、モニタリング、日々の支援と多くの業務を抱え、計画作成の時間は常に圧迫されています。すると何が起きるか。過去の計画の流用、似たケースの表現の使い回し——つまり計画の定型化です。


これは児発管個人の怠慢ではありません。制度上求められる書類量と、現場に確保できる時間とのギャップが生む、構造的な問題です。私自身、現場でこのジレンマを何年も抱えてきました。


「AIで速く書く」が定型化を加速させる

ここに生成AIを持ち込むとどうなるでしょうか。「アセスメント情報を入れたら、それらしい計画が数秒で出てくる」——一見、理想的な解決策に見えます。


しかし、元システムエンジニアとしての経験から言えば、AIは何も工夫しなければ「もっともらしい平均的な文章」を出力する道具です。定型化に悩む現場に「平均的な計画を量産する装置」を渡せば、定型化はむしろ加速します。書類は速く仕上がるのに、計画からその子の顔が消えていく。効率は上がったのに支援の質は下がる——これが、福祉におけるAI導入の最も起こりやすい失敗パターンだと考えています。


私が開発しているのは「個別性を守るためのAI」

だからこそ、いま私は逆のアプローチのAIを開発しています。目指しているのは、作成スピードではなく個別性の担保です。


具体的には、日々の記録や保護者面談で語られた内容から、その子と家庭のニーズを整理する。そして計画のドラフトに対して、「保護者が面談で話していたあの願いが反映されていないのではないか」「この目標は前回の計画の使い回しになっていないか」といった、その子固有の視点の抜け落ちを支援者に返すAIです。


AIに任せるのは「書く作業」の負荷であって、「その子を見ること」ではない。判断はあくまで人が行い、AIはその判断の解像度を上げる。この設計思想は、児発管として現場に立ち続けているからこそ譲れない部分です。開発にあたっては、各児童・各保護者のニーズが一件ずつ計画に反映される仕組みを重視しています。


福祉×AIの成否は「現場を知る人間が設計に入るか」で決まる

私はAI専門会社の代表として、福祉に限らずさまざまな業種のAI導入を支援してきました。その中で確信しているのは、AI導入の成否は技術力ではなく、業務と現場を知る人間が設計に入っているかどうかで決まるということです。


実際、私がCAIOを務めるウィズ・ユーでは、現場の業務フローに合わせてAIを実装した結果、月50時間の残業削減を実現しました。これは「AIを入れたから」ではなく、「現場のどこにAIを効かせ、どこは人が担うべきかを見極めたから」の成果だと捉えています。個別支援計画のAIも、同じ思想の延長線上にあります。


まとめ——効率化の先に「質」を置く

個別支援計画へのAI活用は、これから確実に広がっていきます。そのときに問われるのは「どれだけ速く書けるか」ではなく、「その計画に、その子がいるか」です。私もまだ開発の途上にあり、試行錯誤の連続ですが、現場に立つ児発管として、そして元エンジニアとして、この2つの視点を持つ人間にしか作れないものを形にしていくつもりです。

福祉事業所でのAI活用にご関心のある経営者・管理者の方、「効率化はしたいが支援の質は落としたくない」とお考えの方は、お気軽にご相談ください。弊社では福祉現場の実情を踏まえたAI導入支援・AI研修を行っています。


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