「みんなと違う」は個性。AIが拓く、新たな理解の形
- chojun0529
- 4月29日
- 読了時間: 3分
私たちの「普通」は、彼らにとって全く違う世界
先日、社内で開発中のAIについて、チームメンバーと熱い議論を交わしました。そのAIは、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如・多動症)、LD(学習障害)、HSC(ひといちばい敏感な子)といった発達特性を持つこどもたちの感じ方や困りごとを理解し、支援者や保護者の方々へより良い関わり方を提案するものです。
議論の中、あるメンバーが自身の甥御さんのことを話してくれました。「うちの甥っ子は、ちょっとした物音でもパニックになってしまうんです。親戚が集まる賑やかな場所が苦手で、いつも一人で静かな場所にいることが多いんです。『みんなは楽しそうなのに、どうしてあなたは輪に入れないの?』とつい言ってしまいそうになるけれど、本人も辛いんだろうな…と」。
その言葉を聞き、私は改めて深く考えさせられました。私たちが何気なく過ごしている日常が、そのお子さんにとっては、まるで騒音に囲まれた孤島のような感覚なのかもしれない。蛍光灯のチカチカ、テレビの音、洋服の素材…私たちには「普通」に感じられるものが、彼らにとっては耐えがたい刺激になり得る。
「みんなと同じように」という願いは、時に、彼らにとって大きな壁になります。「どうしてできないの?」という問いかけは、彼らの心に深く突き刺さり、自己肯定感を蝕んでしまうかもしれません。
彼らは、決してわざと困らせようとしているわけではないのです。彼らの世界は、私たちとは違うルールで動いている。それを理解することから、本当の支援は始まるのだと、改めて痛感しました。
私自身、これまでの人生で、周りの人と同じようにできないことに苦しんだ経験があります。もちろん、発達特性を持つこどもたちの困難とは比べ物にならないかもしれませんが、「普通」の枠に себя を押し込めようとして、もがいていた時期がありました。だからこそ、チームメンバーの言葉が、他人事には思えなかったのです。
AI開発を通して、様々な文献を読み、専門家の方々のお話を聞く中で、発達特性を持つこどもたちの世界の見え方、聞こえ方、感じ方は、本当に多様であることを知りました。
同じ特性を持つお子さんでも、困りごとも、得意なことも、全く違う。一人ひとりの個性を尊重し、その子ならではの支援を見つけていくことの大切さを学びました。
私たちのAIは、まだ完璧ではありません。しかし、こどもたちの「困った」の奥にある「どうしてそう感じるのか」という理由を丁寧にひもとき、それぞれの特性に合わせた関わり方を提案することで、少しでも多くの笑顔を増やしたいと願っています。
「わかりたい」というシンプルな想いが、このAI開発の原点です。理解することで、寄り添うことができる。寄り添うことで、安心感が生まれる。安心感は、こどもたちが持てる力を最大限に発揮するための土台となります。
もしかしたら、あなたの周りにも、私たちの「普通」の世界に生きづらさを感じている人がいるかもしれません。「少し違う」と感じるその人に、少しだけ想像力を働かせてみてください。
その人が見ている景色は、どんな色をしているでしょうか? どんな音が聞こえているでしょうか?
こどもたちの世界を理解しようとすることは、私たち自身の世界を広げることにも繋がります。
多様な視点を持つ社会こそが、より豊かで、より優しい社会だと信じています。
これからも、その一助となれるよう、歩みを続けてまいります。
あなたはどう感じましたか?
今日、少しでも多くの人が、身近な誰かの「普通」について思いを馳せてみませんか?
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