
放課後等デイサービスで研修が現場に生かせない主な理由は、学んだ場面と実際の支援場面が、職員の頭の中でつながっていないことです。対策は、研修の内容を要約することではなく、研修のあとに「うちの事業所の場面なら自分はどうするか」を言葉にする振り返りの時間を、事業所内に設けることです。
研修に行かせたのに、現場が何も変わらない。放課後等デイサービスの管理者や児童発達支援管理責任者(児発管)なら、一度はそう感じたことがあると思います。
この記事では、研修が現場に落ちない理由を3つに整理し、事業所内で無理なく回せる振り返りの形を3つ紹介します。
この記事の要点
- 研修が現場に生かせない原因は、職員のやる気よりも「学んだ場面と目の前の場面をつなぐ時間がないこと」にあります
- 振り返りは、研修内容の要約ではなく、自分の担当するこどもの場面への置き換えが中心です
- 振り返りは評価の場と分けることで、「分からない」と言える空気が生まれます
研修が現場に生かせない3つの理由
1. 振り返るタイミングが、研修の直後だけになっている
研修の直後に感想を聞いて終わりにすると、残るのは「よかった」という印象だけになりがちです。印象は、その日のうちに薄れます。
研修の内容が現場で使えるかどうかが決まるのは、直後ではなく、次の支援の場面の前です。「明日のあの場面だったら、自分はどうするか」を考える時間が、研修と現場のあいだに必要だと思っています。
2. 振り返りが「内容の要約」になっている
「研修ではこんなことを学びました」と要約するだけでは、自分の支援にはつながりません。要約は、学んだ内容をなぞる作業だからです。
必要なのは要約ではなく、自分の場面への置き換えです。たとえば「研修で出てきたあの対応を、うちの事業所のあのこどもの、あの場面に当てはめたらどうなるか」。ここまで言葉にできて、初めて手が動く準備ができます。
3. 振り返りが「できなかったこと探し」になっている
振り返りの場が、できなかったことを確認する時間になっていると、職員は本音を話しにくくなります。とくに新人ほど、「分からない」と言えなくなります。
分からないことを言えない職場では、研修の内容は「分かったつもり」で止まります。振り返りは、評価の場ではなく、考え直せる場であることが大切だと思っています。新人育成全体の考え方については、放デイの新人育成が「先輩の背中を見て学ぶ」から抜け出せない理由もあわせてご覧ください。
研修を現場に生かす、事業所内でできる振り返りの3つの形
大げさな制度でなくてかまいません。研修のあとに一度だけ、次の3つをやってみる形です。
1. 研修のあとに一度だけ、「うちの場面なら」を言葉にする
研修の翌日でも、その週のうちでもかまいません。職員一人ひとりが、自分の担当するこどもの場面を思い浮かべて、「あの場面だったら自分はどうするか」を短く言葉にします。
長くなくてかまいません。「あのこどもが切り替えにくい場面で、研修のあの声かけを試してみる」くらいの具体さで十分です。大切なのは、一般論ではなく、目の前の場面に置き換えることです。
2. 判断の理由を、短く残す
支援のあとに、「あの場面で自分は何を見て、どう判断したのか」を一言でも残します。うまくいったかどうかではなく、判断の理由です。
理由が言葉になっていれば、あとで見返したときに、研修で学んだことと自分の判断を比べることができます。比べることができれば、次に同じような場面が来たときに、研修の内容を思い出すきっかけになります。
3. 「分からない」と言える空気を、振り返りの場で守る
振り返りでは、まず「分からなかったところ」を話せるようにします。間違いを指摘するのではなく、「どこで迷ったのか」を聞きます。
迷ったところが言葉になれば、そこが次に学ぶべき場面になります。研修は一度きりの行事ではなく、現場の迷いとつながって、繰り返し使えるものになっていきます。
よくある質問
Q. 研修の振り返りは、いつやるのがよいですか?
研修の直後の感想共有だけで終わらせず、研修のあった週のうちに一度、「自分の担当する場面ならどうするか」を言葉にする時間を取る形が取り組みやすいと思います。次の支援の場面の前であることが大切です。
Q. 振り返りの時間は、どれくらい必要ですか?
長い時間は必要ありません。一人ひとりが自分の場面を短く言葉にできれば十分です。時間をかけることよりも、研修のたびに一度は置き換えの時間を持つことのほうが、続けやすさにつながります。
Q. 振り返りは、人事評価や面談と分けたほうがよいですか?
分けることをおすすめします。評価の場では「分からない」と言いにくくなり、振り返りの目的である「考え直すこと」が進みにくくなるためです。
まとめ:研修は、現場の迷いとつながって初めて生きる
研修に行かせること自体が目的になると、現場は変わりにくくなります。研修の内容を、目の前の場面に置き換えて言葉にする時間。その時間を事業所の仕組みとして持つことが、研修を現場に落とす近道なのだと思っています。
私たちが取り組んでいること
私は埼玉県入間市で放課後等デイサービスを運営しながら、こうした育成の仕組み化を支援するAI「療育人材育成AI(しえんちゃん・まなぶくん)」を開発しています。実際の支援場面に近いケースをもとに考え、対話で振り返り、支援力の現在地を見えるようにする道具です。自社の事業所でも使っています。
研修が現場に落ちないと感じている管理者や児発管の方がいれば、まず「研修のあとに、うちの場面ならどうするかを言葉にする時間があるか」から見直してみてください。その上で、道具のことも含めて知りたい方は、製品ページをご覧ください。
製品ページ:https://www.attraction-llc.tokyo/products/ryoiku-ai/
(14日間の無料トライアルもあります)
