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放課後等デイサービスのヒヤリハット記録の書き方|事実と振り返りを分けて書く

ヒヤリハット記録の濃さが職員によって違うとき、私は書き方の指導より先に、シートの欄の分け方を疑います。

詳しく書く職員の記録も、一行で終わる職員の記録も、同じ欄に「起きたこと」と「思ったこと」と「次からどうするか」が全部入っている事業所では、書き手の性格が出るだけです。起きたことを書く欄、推測を書く欄、次に試すことを書く欄。この3つに分かれているだけで、あとから読む人が使える記録になります。

この記事では、ヒヤリハットに書く項目の順番、事実と推測を分ける具体的な書き方、「注意します」で終わらせないための分け方を書きます。後半では、当日のメモからAIに下書きを作らせる方法も紹介します。

書いているのは、放課後等デイサービスの管理者をしている児童発達支援管理責任者の長 純(ちょう じゅん)です。

ヒヤリハット記録に書く項目

うちの事業所で使っている並びは、次のとおりです。

  • 日時、場所、場面(何の活動の、どの時間帯か)
  • その場にいた職員の人数と、こどもの人数。職員の位置も分かる範囲で
  • 起きたこと。見たこと、聞いたことを、起きた順に
  • その場でどう対応したか。その後のこどもの様子

項目は多く見えますが、あとで振り返るときに効くのはこの並びです。職員の位置が書いてあると、「そのとき誰がどこを見ていたか」が思い出せます。起きた順に書いてあると、会議で読み上げたときに場面が頭に浮かびます。逆に、結論から書かれた記録は、その場にいなかった職員が読むと何も分かりません。

書く項目が決まっていない事業所では、まずこの欄の並びをそろえるところから始めるのがいいと思います。文の上手い下手は、そのあとの話です。

事実と推測を分ける書き方

一番よく見るのが、事実と推測が一文に混ざった書き方です。架空の例で書きます。

元の文:「こどもが不注意で転びそうになった」

「不注意で」は、書いた職員の推測です。本当に見たのは、転びそうになった場面だけのはずです。直すとこうなります。

直した文:「こどもが椅子に片足をかけ、椅子がぐらついた。本人は棚に手をついて姿勢を戻した。けがはなかった」

見たことだけを書くと、文は自然に長くなります。一行で終わる記録の多くは、書き手が手を抜いたのではなく、推測の言葉で場面を縮めて書いてしまったものです。

推測を全部消す必要はありません。「転びそうに見えた」「急いでいたのかもしれない」は、支援を考える材料になります。ただ、推測は事実の文に混ぜず、「場面の切り分け」という別の欄に、「〜かもしれない」「〜のように見えた」の形で書きます。場所が分かれていると、読む側も「ここまでは起きたこと、ここからは考えたこと」と切り替えて読めます。

「注意を徹底します」で終わらせないために

振り返りの欄に「今後は注意を徹底します」と書いて終わる記録も、よく見ます。書いた本人は反省しているつもりでも、次に同じ場面が来たとき、何を変えればいいのかが残りません。注意は、その日の担当者の集中力に頼る対策だからです。

うちでは、場面を3つに分けて考えるようにしています。

  • 環境面:物の配置、動線、道具の置き場所
  • 運用面:担当の決め方、声かけのタイミング、手順の順番
  • 観察面:そのときのこどもの様子で、観察できたこと

さきほどの椅子の例なら、環境面は「自由時間に椅子を出す場所が棚の前だった」、運用面は「自由時間の見守りの担当が決まっていなかった」、観察面は「次の活動を気にして急いでいるように見えた」と書けます。この分け方をすると、次に試すことが「椅子を出す場所を変える」「自由時間の担当を朝礼で決める」のような、行動の文で書けるようになります。

試すことは1つに絞り、「誰が、いつから」を添えます。3つも4つも並べると、結局どれも試されないまま次の月に入る、というのが私の実感です。

当日は事実だけ。振り返りは週1回でいい

全部を当日に書こうとすると、送迎と記録と申し送りで一日が終わる夕方には、もう無理が出ます。うちの運用は、当日は事実の欄だけを書き、切り分けと振り返りの欄は週1回の短い時間にまとめて埋める形です。月末には、件数とテーマだけを拾って「今月は玄関まわりが3件」のように見ます。1件ずつ深く読む時間はなくても、繰り返し出てくる場所は分かります。

当日分が事実だけでも残っていれば、週末の振り返りは「思い出して書く」作業になりません。記録が続かない事業所は、たいてい当日に全部書かせようとして続かなくなっています。

メモとプロンプトで下書きを作る方法

最近は、当日のメモをAIチャットに渡して、シートの下書きを作る方法も使っています。メモは完成文でなくて構いません。箇条書きの走り書きを、欄の形に整えるところだけAIにやらせます。

使っているプロンプトはこういう形です。「げんばの記録テンプレ」に入れているものを、そのまま載せます。

あなたは放課後等デイサービスの記録作成を手伝います。
以下に、ヒヤリハットが起きた場面について職員が書いたメモを渡します。
個人が特定できる情報は含まれていません。

【ここにメモを貼る】

やること:
1. メモの内容を「事実の記録」として、起きた順に並べ替えて下書きしてください。
メモに書かれていない事実は足さないでください。
2. 「場面の切り分け」の下書きを、環境面・運用面・こどもの様子(観察できた範囲)
に分けて書いてください。断定せず、「〜かもしれない」「〜のように見えた」
の形にしてください。
3. 「次に試したいこと」の候補を3つまで挙げてください。環境を変えることと、
運用の決め方を変えることの両方から出し、「〜を試す」という行動の文で
書いてください。
4. 医療や看護など専門的な判断が必要そうな点があれば、切り分けには入れず、
「事業所の手順で確認が必要な点」として最後に分けてください。

ポイントは2つあります。1つは、「メモに書かれていない事実は足さないでください」と先に書いておくこと。もう1つは、候補はあくまで候補で、実際に試す1つは職員同士で話して決めることです。

たとえば「送迎準備の時間、小学2年生のこどもが玄関の段差でつまずき、手をついた。けがはなし。その前から、ほかのこどもの靴が玄関に2足出たままになっていた」という架空のメモを渡すと、事実の記録は時系列に整えられ、切り分けには「出たままの靴につまずいた可能性がある」「送迎準備の時間に玄関を見る担当が決まっていなかった」のように推測の形で分かれて返ってきます。もちろん、出てきた下書きはそのまま記録にはしません。その場にいた職員が読み直し、違うところは消し、足りない事実は書き足してから使います。

注意点も書いておきます。こどもの氏名や、個人が特定できる情報はAIに入力しないでください。貼る前に「小学○年生のこども」のような書き方に置き換えます。この線引きだけは、使う前に事業所内で決めておいたほうがいいところです。

よくある質問

Q:ヒヤリハットと事故報告は分けたほうがいいですか

A:分けてください。役割が違います。事故報告や自治体への報告は、事業所の基準と手順に従うものです。この記事で書いたのは、事業所の中で振り返るための記録の書き方で、報告の代わりにはなりません。

Q:書く時間がないときは、どこまで書けばいいですか

A:当日は事実の欄だけでいいと思います。切り分けと振り返りは、週1回の時間に回せる形にしておくほうが、結局は続きます。一行で終わる日があっても、事実が1つ残っていれば、あとで拾えます。

Q:書き手が責められているように感じて、報告が減ってしまいます

A:事実の欄と振り返りの欄を分けることと、「うまくいった対応」を書く欄を先に置くことが効きます。つまずいた場面でも、とっさに手をついた、声をかけた、という対応は必ず何かしらあります。そこを書く欄があると、記録は「失敗の報告」から少し離れます。

Q:AIに下書きを手伝わせてもいいですか

A:事実の整理や、切り分けの観点を出すところには使えます。前提は、個人が特定できる情報を入力しないことと、出てきた下書きを職員が事実と照らして確認することです。最終的な記録の内容は、職員の責任で決めるものとして残ります。

この記事のシートとプロンプトについて

この記事で紹介した欄の分け方とプロンプトは、「放デイ・児発の記録テンプレ10 ― げんばの様式と、コピペで使えるAIプロンプト集」(呼び名は「げんばの記録テンプレ」)の1点目「ヒヤリハット振り返りシート」のものです。このシートについては、全文をサンプルとして読めるページを用意しています。今の事業所のシートと並べて、欄の分け方だけでも比べてみてください。

テンプレ集には、このシートのほかに、日報からサービス提供記録への下書き転記、業務負荷の見える化、シフト編成のチェック、申し送りメモなど、記録と運営のテンプレが10点入っています。料金と購入方法は、販売ページに置いてあります。

販売ページ:https://www.attraction-llc.tokyo/products/genba-templates/

サンプルページ:https://www.attraction-llc.tokyo/products/genba-templates-sample/

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放課後等デイサービス・福祉のAI導入支援と職員研修個別支援計画や記録・お便りなどの書類業務と、職員の育成をAIで支えます。代表は現役の児童発達支援管理責任者です。

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